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岡山県の山岳地帯にひっそりと隠れるように存在する「月影村」。その村には、過去に多くの奇妙な事件が報告され、現在では地元の人々もその存在を恐れ、近づかないと言われていた。
都市伝説として語り継がれるその村に、私は好奇心から足を踏み入れる決心をした。
その日、私たち三人は、友人のユウの提案で山へハイキングに出かけた。ケイと私は最初、普通の登山を楽しむ予定だったが、ユウが突然「月影村」に行ってみようと言い出した。
ユウは根っからの冒険心を持つ人物で、よくそんなことを言っては周囲を驚かせていた。彼の話によると、「月影村」はかつては繁栄していた村で、ある日、突如として消えてしまったという。
伝説によれば、村の住人たちは一夜にして姿を消し、村は荒れ果て、今では誰も住んでいないという。
地元では、「月影村」に近づくと不幸が訪れると言われ、あまりにも不可解なことが多いため、誰もその村を訪れようとしなかった。しかし、ユウはその伝説がただの噂だと思っていた。
「行こうよ、あの村を見に行こう!」ユウは興奮気味に言った。
ケイは半信半疑で、「でも、もし本当に怖いことがあったらどうするんだ?」と少し心配そうな顔をしていた。
しかし、私も好奇心が勝り、「でも、どうしても気になるんだよね」と言ってしまった。
私たちは、村の存在を確かめるため、昼間のうちに月影村に向かうことにした。車で山道を進み、道路がどんどん狭くなる中、周囲の景色がどんどん静かになっていくのを感じた。
まるで世界が静止しているような、奇妙な感覚に包まれていた。
ようやく、車を降りて歩き出すと、空気が一層冷たく、薄暗くなってきた。村の入口らしき場所に到着すると、突然、静寂の中に遠くから声が聞こえた。
最初は風の音かと思ったが、それは人の話し声のようだった。
私たちは足を止めて、その声を聞き取ろうとしたが、すぐに消えてしまった。
気を取り直して村へ足を踏み入れると、古びた家々が立ち並び、まるで時が止まったような不気味な雰囲気が漂っていた。
家々は荒れ果て、窓ガラスは割れ、扉は開いたまま放置されていた。
私たちはそのまま村を歩きながら、何も言わずにただその異常な雰囲気に圧倒されていた。
ユウが、「何もないな、ただの廃村じゃないか」と言ったその時、突然、どこからか笑い声が響いた。
その笑い声は、まるで村全体に響き渡るような不気味な音で、私たちの背筋を凍らせた。
ユウが立ち止まり、「あれ?」とつぶやいた。ケイと私は顔を見合わせ、急に心臓が早く鼓動し始めるのを感じた。
その時、村の奥から一人の男性が現れた。その人物は年老いていて、顔色が非常に悪く、体が震えているように見えた。
手には何かを持っており、私たちに近づいてきた。私たちは思わず後退りながら、男性が何を言うのかに注目した。
「ここからは、もう誰も出て行けないんだよ…」彼はかすれた声でそう言うと、私たちをじっと見つめた。
その瞬間、急に風が吹き荒れ、男性は不気味に笑いながら、村の奥へと消えていった。
私たちはその場に立ち尽くし、言葉を失った。
ユウが「何なんだよ、あの人…」と震えた声で言うと、ケイも「怖すぎる」と口を揃えた。
私たちはその村を早く離れようと決意し、引き返すことにした。しかし、戻る道はどんどん薄暗くなり、時間が経つにつれて、まるで迷子になったかのように感じられた。
何度も曲がりくねった道を歩いているうちに、私たちはその村の外に出られなくなってしまった。
突然、どこからか女性の叫び声が響き、私たちは息を呑んだ。その声は、次第に近づいてきて、まるで誰かが後ろから追いかけてくるような恐怖に包まれた。
振り返っても誰も見えない。しかし、確実に何かが私たちを見ているという強烈な感覚があり、心臓が破裂しそうだった。
私たちは慌てて、村の出口に向かって走り始めた。足音が聞こえるたびに振り返りながらも、足を速めて走り続けた。
恐怖が足元に重くのしかかり、息が上がる一方だった。何度も倒れそうになりながら、ようやく村の外に出ることができた。
車に乗り込んでエンジンをかけると、もう振り返ることなく、私はアクセルを踏み込んだ。ユウもケイも無言で、ただ車の中で震えていた。
それから数日後、私は再びその村を調べてみることにした。地元の人々に話を聞いてみると、「月影村」は本当に不気味な場所で、過去に行方不明になった人々が多く、今もその村に住み着いているという噂が絶えないことがわかった。
しかし、それ以上の詳細を知る者はいなかった。
村の記録もほとんど消失しており、まるでその場所自体が存在しなかったかのように扱われていた。
私はあの村の存在を完全に信じてしまっていたが、何より怖かったのは、私たちが逃げた後も、あの村の影が私たちを追い続けているような感覚だった。
そして、あの村が存在していた場所には、今も恐ろしい何かが潜んでいることを確信している。
- 工事中
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