火戸村

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ここで公開している話はすべてオリジナル小説で登場する人物、場所は架空でありフィクションです。
体調が悪い時は逆に健康に悪化させる可能性があるため読むのを中止にしてください。

 

山田次助と佐藤幸三と佐々木千鶴は小学校、中学校、高校とずっと一緒だった。

 

親友と云えは聞こえはいいが、腐れ縁と云う奴だった。

 

A県の高校を卒業して就職して数年経ち、ゴールデンウィークを使ってG県のS湖に2泊3日で車中泊しながらドライブに行く事になった。

 

車は次助が60回ローンで買った大型SUVだ。3年落ちなのだがそれでも高額な買い物だ。

 

埼玉県のN市のセブンイレブンにAM5:00待ち合わせした。

 

次助が3人の中で1番早くセブンに到着した。

 

「なんだよ、あいつらおせーじゃんかよ。」

 

そういいながら次助はセブンに入ってコーヒーをオーダーした。

 

次助はミルクやシュガーは入れない。

 

コーヒーを淹れ駐車場に戻ると愛車プラドの側に千鶴がやってきた。

 

「早いじゃん」

 

「早く起きちゃってさ」

 

千鶴がプラドの中を覗き込んだ

 

「犬いんじゃん!!」

 

「連れて行くんだよ」

 

「まじ?馬鹿じゃないの?」

 

「なんでだよ」

 

「車中泊だよ?犬と寝るの?信じらんない!!」

 

千鶴はあきれていた。

 

そんなところへ日出吉が現れた、待ち合わせを10分以上遅れての登場だ。

 

「悪りぃー、悪りぃー」

 

いつも幸三は遅れてくる。

 

「ちょっと聞いてよ、犬いるよ、犬!」

 

「まじ?」

 

幸三はプラドを覗き込んだ。

 

するとそこにはシベリアンハスキーがお座りの状態で幸三を見ていた。

 

「ゴン」

 

幸三はつぶやいた。

 

「お前ゴンをつれて行くのか?」

 

「ああ」

 

「なんで」

 

「親も姉ちゃんもゴールデンウィークいないんだよ。世話する様に言われてさ」

 

結局、次助と幸三と千鶴の3人は愛犬のゴンを連れてG県のS湖へ向かう事にした。

 

彼らの住むA県は関東地方と呼ばれている。

 

都会のベットタウンとなっている。

 

今回の目的地のG県S湖は東北地方であり、高速を使っても4時間~5時間かかる所だ。
結構な距離だ。

 

しかも、ゴールデンウイークが始まったばかり。

 

次助は高速が渋滞する前に走りたかった。

 

だが、みんな考える事は同じなようで、高速は重体だった。

 

本来なら、4時間~5時間で到着するのだが、大渋滞のせいで8時間くらいかかりG県の大都市K市に到着したのは15時頃になっていた。

 

「さっさとファミレスでご飯食べてスーパーで食材買って、近くの日帰り温泉でお風呂入ってS湖いこう」

 

疲れた様に千鶴が云うと

 

「ゴンも散歩させないと」

 

次助が云った

 

K市はG県の中央部にありS湖の東側になる。

 

高速道路はK市を縦断していて、次助たちはK市で高速を降りて、山岳部を超えてS湖へ向かう道を
チョイスしたのだ。

 

夕刻の17時を回っていた。

 

千鶴が長風呂だったせいだ。

 

でも次助もかなり運転で疲れていたので、千鶴がお風呂あがるまで休めた。

 

幸三は後部座席でゴンと一緒に寝ていたのだが、車に長時間乗っているだけでも疲れていた。

 

後はS湖に向かうだけだ。

 

次助はエンジンをかけた。

 

K市からS湖へ向かう。

 

残り約30キロだ。ここまでの道のりに比べれば短いものだ。

 

K市からS湖に向かうにはいくつかの道がある。

 

全て峠道だ、7峠と呼ばれてたようだ。

 

普通にナビは最も大きい道を通る様に指示していた。

 

「折角だからくダートな道いかない?」

 

幸三が云った

 

「ああ」

 

次助はハンドルを切った

 

7つある他の峠道はいくつか舗装されていない道がある、幸三は調べていたのだ。

 

「やだ、ちょっと」

 

千鶴が云ったがプラドは既に別の峠道へ向かっていた。

 

プラドがはしばらく走っていると

 

「火戸村」看板が出てきた。

 

「なんて読むの???」

 

「しらね」

 

「ひと、じゃね?」

 

3人はG県で火戸村なんて聞いたことが無かった。

 

まだまだ、山越えしないとS湖にはだとりつかないのだ。

 

2時間くらいプラドを走らせていたが全く山越えに向かわない。

 

淋しい山間の過疎の村だ。

 

もう既に19時をまわり、真っ暗中をプラドが疾走する。

 

「おかしくね?」

 

「たしかに神藤峠にたどり着かない」

 

「もうとっくに着いている時間よね?」

 

ナビ通りに走っているのに、彼らが走りたい神藤峠にたどり着けない。

 

神藤峠を越えたらすぐS湖畔なのだ。

 

でもその道がいつまでたっても現れない。

 

民家が数件ならんでいるのが見えた。

 

数件とも明かりが点いている。

 

「次助、道聞いた様が良くね?」

 

幸三が云った。

 

「怖いよ」

 

千鶴が否定した。

 

次助は灯り向かってハンドルを切った。

 

灯りがついていた数件はみんな大きな家で、母屋、離れ、倉、門塀で囲まれた立派な家だ。

 

農家なのだろうと次助は思った、一番大きな家の門の前にプラドを止めた次助は、車を降りて母屋へ向かった。

 

幸三と千鶴は車の中で待機していた。

 

ゴンは後部座席にフセの状態で寝ている様だった。

 

「こんばんは!!」

 

呼び鈴が見つからなかったので、次助は声を出してみた。

 

返事がない

 

「こんばんは!!」

 

もう一度大きな声で呼んでみた。

 

家の中で人の気配がした。

 

次助が待っていると

 

玄関がゆっくりと開いた。

 

70代と思われるやせているが目つきが鋭い老人が顔をだした。

 

「誰だ?」

 

言葉は低く、威圧感もあった。

 

「旅の者です。道に迷ったらしいのです。S湖に行きたいのですが?」

 

老人は

 

「S湖なら通りの道をまっすぐ行けば神藤峠を通ってすぐじゃ。」

 

「ありがとうございます。ちなみにこの村の名前は何と読むのですか?」

 

老人はすぐには答えず、暫く間をおいて

 

「ひのと 村じゃ」

 

「ひのとむら?」

 

次助は復唱した。

 

そして老人に礼を云ってプラドへ戻った。

 

プラドに戻ると「どうだった?」千鶴が心配そうに尋ねた。

 

「道はあってた。さっきの道をまっすぐで神藤峠だって」

 

次助はハンドルを切った。

 

一時間走っていた。

 

だが一向に神藤峠にたどり着かない。

 

過疎の村なので街灯もない。

 

プラドのライトだけが闇の中を照らしていた。

 

「!!!!」

 

道が無い!!

 

道が数十メートル先無くなって神社の鳥居ですぐ後ろは祠になっていた。

 

次助は車を鳥居の前で止めた。

 

「火戸神社」と書いてあった。

 

「ひのとじんじゃ」

 

次助はささやいた。

 

3人はプラドを降りた。

 

「なんなんだ?ここ?」

 

「ナビの通りに走ったのに?なんで」

 

幸三や千鶴はパニックになった。

 

人の気配がした。

 

気が付くと3人は数十人の老人に囲まれていた。

 

次助は老司の目が真っ赤であることに気が付いた。

 

「お前らを火戸神社のお供え物とする事に決めた」

 

「わしらの幸せの為に犠牲になってくれ」

 

老人たちが云うと老人たちの口がら火炎の熱線が放たれたのだ。

 

熱線が幸三に直撃して、幸三の体が炎に包まれた。

 

幸三の声にならない悲鳴を聞いた時、次助は自分の死を悟った。

 

その時、赤い目の老人達に向かう青い目をした物体がプラドから
現れた。ゴンだ。

 

青い目をしたゴンが現れた時、老人たちは右往左往した。

 

赤い目の熱線と青い目の冷線がいくつも重なった。

 

気が付くと、次助と千鶴は神藤峠の入り口にプラドに乗った
状態だった。

 

ゴンがいない。

 

あの時ゴンが命を賭して自分達を守ってくれたのだと思った。

 

ただ、この時、次助と千鶴から幸三の記憶が無くなっていた。

 

そう、誰も幸三の事を覚えている者はいなかった。

 

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