久世村

本ページにはプロモーションが含まれています。

読む前に注意事項をお読みください

公開している記事の「無断引用」、「無断転載」は禁止しております。

ここで公開している話はすべてオリジナル小説で登場する人物、場所は架空でありフィクションです。
体調が悪い時は逆に健康に悪化させる可能性があるため読むのを中止にしてください。

 

ある秋の日、一人の登山者が消息を絶った。彼は登山が趣味で、何度も同じ山を訪れていた経験豊富な人物だった。

 

登山ルートを熟知していたはずなのに、その日は予定の下山時刻を過ぎても帰宅せず、家族が警察に通報。

 

すぐに消防や警察が捜索を開始したが、彼の足取りは途中でぷっつりと途切れ、道標や所持品の痕跡すら見つからなかった。

 

通常、遭難者が出ると、滑落や道迷いの可能性を考えて広範囲を捜索する。

 

しかし、この山では何かが違った。

 

登山者の消失地点が特定できないばかりか、まるで彼の存在そのものが山の中に溶け込んでしまったようだった。

 

捜索隊は何日も山を巡ったが、発見には至らなかった。

 

それから数ヶ月が経ち、地元では不思議な噂が囁かれるようになった。

 

登山者と同じように、この山で消息を絶った若者がいるというのだ。

 

しかも、その若者たちには一つの共通点があった——「地図に載っていない道」に足を踏み入れていたということだ。

 

そして、その道の先にあると言われるのが、存在しないはずの村——「久世村(くぜむら)」だった。

 

都市伝説と大学生たち

 

大学生の悠人(ゆうと)と友人の隆也(たかや)、沙耶(さや)、健吾(けんご)の四人は、都市伝説に詳しい先輩から「久世村(くぜむら)」の話を聞いた。

 

それは、かつて存在したとされるが、現在は地図にも記載されていない幻の村の噂だった。

 

「そんなヤバい村、本当にあるのか?」

 

隆也が興味を示すと、先輩は真剣な表情で頷いた。

 

「噂によると、久世村に足を踏み入れた者は二度と戻れないらしい。ネットでも話題になっているぞ。」

 

半信半疑の彼らは、さっそく掲示板を検索してみた。

 

すると、「久世村に行った友人が失踪した」「夜中に誰かの足音がついてくる」「背後で囁く声が聞こえた」など、不穏な体験談が次々と見つかった。

 

中には、行方不明者の家族が必死に情報を求める書き込みもあり、単なる都市伝説にしては妙に生々しかった。

 

「面白そうじゃね?」

 

健吾が軽いノリで言うと、沙耶が少し不安そうに言った。

 

「でも、本当に危ない場所だったらどうするの?それに、行方不明になった人がいるなら、警察が動いてるはずじゃない?」

 

「それが、久世村に関する正式な捜索記録はほとんどないんだってさ。村の存在自体が曖昧だから、捜索範囲も特定できないらしい。」

 

先輩の説明を聞きながら、悠人は胸の奥に奇妙な興奮を覚えていた。

 

ただの噂だと思っていたのに、こうして話を聞くうちに、まるで自分たちが都市伝説の当事者になりつつあるような感覚に陥る。

 

「よし、週末に探しに行こうぜ!」

 

こうして彼らは、深く考えもせず、久世村探索を決めた。

 

山奥にあるというその村への道のりも、具体的な地図は存在しない。

 

ネットの情報を頼りに、わずかな手がかりを集めるしかなかった。

 

週末、彼らは車で出発し、久世村があると噂される山へと向かった。

 

途中までは普通の登山道だったが、ネットの書き込みにあった「地図にない分かれ道」に差し掛かったとき、彼らは思わず顔を見合わせた。

 

「ここか……?」

 

目の前には、獣道のように細く、誰も通らないような道が続いていた。

 

だが、その道はまるで彼らを誘うかのように、森の奥へと続いている。

 

「行くしかないだろ。」

隆也が先陣を切り、他の三人も後に続いた。その時、悠人はふと背後に視線を感じた。

 

振り返っても誰もいない。ただ、森の奥から吹く風が、耳元で囁くように響いていた——

 

封じられた鳥居村へと続く山道は、想像以上に険しかった。

 

地図には載っていない道をたどり、やがて朽ちた木製の鳥居が姿を現した。

 

鳥居には、黒ずんだお札が無数に貼られ、読めない古い文字が刻まれていた。

 

「うわ…何これ?」

 

「なんか、すげぇ不気味だな…」

 

健吾が鳥居をくぐると、急に風が止み、空気が異様に重くなった。

 

他の三人も続いたが、沙耶だけがためらっていた。

 

「やっぱり、やめようよ…」

 

「大丈夫だって!」

 

悠人が沙耶の手を引く。

 

しぶしぶ鳥居をくぐると、その瞬間、背後で「パキッ」と何かが割れるような音がした。

 

振り返ると、お札の一部が剥がれ落ちていた。

 

静寂の村

 

村に入ると、そこには確かに古い民家が並んでいた。

 

しかし、不自然なほど静かだった。

 

「まるで、時間が止まったみたいだ…」

 

隆也が呟いた。

 

家の戸を叩こうとすると、ふいに家の奥から人影が現れた。

 

痩せこけた老人だった。無表情のまま、彼らをじっと見つめている。

 

他の家の窓からも、村人らしき者たちが彼らを覗いていた。

 

「なんか、怖くね?」

 

「でも、せっかく来たんだし、もう少し見て回ろう」

 

悠人の提案で、四人は村の奥へ進んだ。

 

消えない足音

 

歩いていると、沙耶が囁いた。

 

「ねえ…誰かついてきてない?」

 

「気のせいだろ?」

 

そう言いながらも、彼らは足を速めた。

 

だが、確かに後ろから微かな足音がついてくる。

 

「カラン…」

 

足元で何かが転がった。それは、小さな白い人形だった。

 

「これ…呪いの人形?」

 

沙耶が青ざめる。

 

「ただの人形だろ?」

 

隆也が拾い上げた瞬間——

 

「ゴォォォン……!」

 

村の奥から、重々しい鐘の音が響いた。

 

消えた村人

 

鐘の音が鳴った途端、それまでこちらを見つめていた村人が、一瞬で姿を消した。

 

「うそ…どこ行ったの?」

 

「やばい、マジでやばい!!」

 

四人は駆け出した。だが、走っても走っても、同じ場所に戻ってしまう。

 

「出られない…!」

 

沙耶が悲鳴を上げた。その時、村の奥に一軒の祠が見えた。

 

扉がゆっくり開き、中から何かが覗いていた。

 

闇の中の目

 

それは、人ではなかった。

 

黒い影のような存在が、無数の赤い目を光らせ、じっと彼らを見つめている。

 

「……逃げよう……」

 

沙耶の震える声に、全員が駆け出した。

 

やがて、鳥居が見えた。

 

「早く!」

 

四人が鳥居をくぐった瞬間——

 

「ドォン!」

 

背後で何かが弾かれる音がした。振り返ると、村は霧に包まれ、消えていた。

 

最後の証拠

 

「…今の、なんだったんだ?」

 

誰も答えられなかった。

 

だが、隆也が手を開くと、まだ白い人形を握っていた。

 

「……嘘だろ?」

 

人形の顔が変わっていた。

 

それは——血走った赤い目をした「村人の顔」になっていた。

 

それ以来、四人は夜ごとに同じ夢を見るようになった。

 

霧に包まれた村の中、無数の赤い目が、じっとこちらを見つめる夢を——。

 

怪奇村の人気記事TOP3
  1. 工事中
  2. 工事中
  3. 工事中

 

おすすめの記事