月影村

本ページにはプロモーションが含まれています。

読む前に注意事項をお読みください

公開している記事の「無断引用」、「無断転載」は禁止しております。

ここで公開している話はすべてオリジナル小説で登場する人物、場所は架空でありフィクションです。
体調が悪い時は逆に健康に悪化させる可能性があるため読むのを中止にしてください。

 

岡山県の山岳地帯にひっそりと隠れるように存在する「月影村」。その村には、過去に多くの奇妙な事件が報告され、現在では地元の人々もその存在を恐れ、近づかないと言われていた。

 

都市伝説として語り継がれるその村に、私は好奇心から足を踏み入れる決心をした。

 

その日、私たち三人は、友人のユウの提案で山へハイキングに出かけた。ケイと私は最初、普通の登山を楽しむ予定だったが、ユウが突然「月影村」に行ってみようと言い出した。

 

ユウは根っからの冒険心を持つ人物で、よくそんなことを言っては周囲を驚かせていた。彼の話によると、「月影村」はかつては繁栄していた村で、ある日、突如として消えてしまったという。

 

伝説によれば、村の住人たちは一夜にして姿を消し、村は荒れ果て、今では誰も住んでいないという。

 

地元では、「月影村」に近づくと不幸が訪れると言われ、あまりにも不可解なことが多いため、誰もその村を訪れようとしなかった。しかし、ユウはその伝説がただの噂だと思っていた。

 

「行こうよ、あの村を見に行こう!」ユウは興奮気味に言った。

 

ケイは半信半疑で、「でも、もし本当に怖いことがあったらどうするんだ?」と少し心配そうな顔をしていた。

 

しかし、私も好奇心が勝り、「でも、どうしても気になるんだよね」と言ってしまった。

 

私たちは、村の存在を確かめるため、昼間のうちに月影村に向かうことにした。車で山道を進み、道路がどんどん狭くなる中、周囲の景色がどんどん静かになっていくのを感じた。

 

まるで世界が静止しているような、奇妙な感覚に包まれていた。

 

ようやく、車を降りて歩き出すと、空気が一層冷たく、薄暗くなってきた。村の入口らしき場所に到着すると、突然、静寂の中に遠くから声が聞こえた。

 

最初は風の音かと思ったが、それは人の話し声のようだった。

 

私たちは足を止めて、その声を聞き取ろうとしたが、すぐに消えてしまった。

 

気を取り直して村へ足を踏み入れると、古びた家々が立ち並び、まるで時が止まったような不気味な雰囲気が漂っていた。

 

家々は荒れ果て、窓ガラスは割れ、扉は開いたまま放置されていた。

 

私たちはそのまま村を歩きながら、何も言わずにただその異常な雰囲気に圧倒されていた。

 

ユウが、「何もないな、ただの廃村じゃないか」と言ったその時、突然、どこからか笑い声が響いた。

 

その笑い声は、まるで村全体に響き渡るような不気味な音で、私たちの背筋を凍らせた。

 

ユウが立ち止まり、「あれ?」とつぶやいた。ケイと私は顔を見合わせ、急に心臓が早く鼓動し始めるのを感じた。

 

その時、村の奥から一人の男性が現れた。その人物は年老いていて、顔色が非常に悪く、体が震えているように見えた。

 

手には何かを持っており、私たちに近づいてきた。私たちは思わず後退りながら、男性が何を言うのかに注目した。

 

「ここからは、もう誰も出て行けないんだよ…」彼はかすれた声でそう言うと、私たちをじっと見つめた。

 

その瞬間、急に風が吹き荒れ、男性は不気味に笑いながら、村の奥へと消えていった。

 

私たちはその場に立ち尽くし、言葉を失った。

 

ユウが「何なんだよ、あの人…」と震えた声で言うと、ケイも「怖すぎる」と口を揃えた。

 

私たちはその村を早く離れようと決意し、引き返すことにした。しかし、戻る道はどんどん薄暗くなり、時間が経つにつれて、まるで迷子になったかのように感じられた。

 

何度も曲がりくねった道を歩いているうちに、私たちはその村の外に出られなくなってしまった。

 

突然、どこからか女性の叫び声が響き、私たちは息を呑んだ。その声は、次第に近づいてきて、まるで誰かが後ろから追いかけてくるような恐怖に包まれた。

 

振り返っても誰も見えない。しかし、確実に何かが私たちを見ているという強烈な感覚があり、心臓が破裂しそうだった。

 

私たちは慌てて、村の出口に向かって走り始めた。足音が聞こえるたびに振り返りながらも、足を速めて走り続けた。

 

恐怖が足元に重くのしかかり、息が上がる一方だった。何度も倒れそうになりながら、ようやく村の外に出ることができた。

 

車に乗り込んでエンジンをかけると、もう振り返ることなく、私はアクセルを踏み込んだ。ユウもケイも無言で、ただ車の中で震えていた。

 

それから数日後、私は再びその村を調べてみることにした。地元の人々に話を聞いてみると、「月影村」は本当に不気味な場所で、過去に行方不明になった人々が多く、今もその村に住み着いているという噂が絶えないことがわかった。

 

しかし、それ以上の詳細を知る者はいなかった。

 

村の記録もほとんど消失しており、まるでその場所自体が存在しなかったかのように扱われていた。

 

私はあの村の存在を完全に信じてしまっていたが、何より怖かったのは、私たちが逃げた後も、あの村の影が私たちを追い続けているような感覚だった。

 

そして、あの村が存在していた場所には、今も恐ろしい何かが潜んでいることを確信している。

 

怪奇村の人気記事TOP3
  1. 工事中
  2. 工事中
  3. 工事中

 

おすすめの記事